レドニツェ放浪記
- in モラヴィア地方
- チェコ共和国
かつてハプスブルグに仕え、現在は大富豪として有名なリヒテンシュタイン家が、この近辺に最初に城塞を建てたのは13世紀。当時はほとんど何も無かった場所らしいが、一族の地位が上がるにつれて、徐々に彼らの本拠地として整えられた。特に17世紀始めに侯爵となってからは、ヴァルチツェやブジェツラフをあわせた領地全体に、頻繁に流行りの様式を取り入れることを行ったようだ。
16世紀末に城塞からルネサンス風の城館に建て替えられたこの城は、公爵家が居城をヴァルチツェに移したために夏の離宮として利用されるようになる。17世紀末には流行りだったのか後期バロック風に修築され、さらに1772年には新古典主義で大改築。伯爵家となった後の1846年には内装を含めた装飾を英国風ネオゴシックとした。そのせいか城を遠くから眺めると、なぜか統一感なく塔が伸びてたり、あっちとこっちの寸法が不釣り合いだったりで、写真も撮りようによってはまったく別の城に見えたりするから面白い。そしてそれがこの城の魅力でもある。
また、19世紀始め頃からヨハン・ヨーゼフ1世が造らせた北東側に広がる巨大なイギリス庭園は必見。これは、すでに17世紀から城の横にあった広大なフランス庭園(写真上)をはるかにしのぐ規模で、自然の森や池などを生かしながら、様々な建築様式の小屋や展望台、寺院やわざと遺跡のように造った城址などを配置しており、多くが見学可能(写真下)。
特にミナレットと呼ばれるイスラム建築を模した60mの展望台は地元のシンボルのようになっており、お土産のパッケージにもしっかりと印刷されるほどだ(写真上)。なんと8キロ離れたヴァルチツェ城まである並木道や、ラムサール条約で守られた地域や小さな村もが庭園の一部とされているようなので、もしその全部見るつもりなら、かなりの時間的覚悟がいるだろうと思う。城自体もその周囲や19世紀の温室はもちろん、写真撮影はダメだがシーズン中は内部も見学することが出来る。見事なシャンデリアや甲ちゅう、図書館の木造階段は必見。でも見て回ると、あちこちの壁のはげちょろけが目につく(写真下〕。張りぼて好きの日本人感覚だと「ちょっと大丈夫かいな?」とも思うが、それはそれで別の意味で味わい深い。
先の世界大戦後、ドイツ系のリヒテンシュタイン家はチェコから追放され所有物は没収となった。なのでこの城は公共物だし、リヒテンシュタイン公国とチェコ共和国は今もたいへん仲が悪いそうだ。それでも「ヨーロッパを代表する伯爵の住い」にふさわしい壮大なお城だけあって、結婚式やイベントが頻繁に行われ、近隣の人はピクニック感覚で訪れるとか。世界遺産なので今後は徐々に修復作業が行われるだろう。
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